筆者は、20年以上拒食症に苦しんできました。
その間、多少調子の良いときもありましたが、2度ほど「いつ死んでもおかしくない」状態となりました。
直近で死にかけの状態になったのは、今から3~5年前の2年間くらいです。
この頃、筆者が考えていたことを1つ、お話ししたいと思います。
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1.筆者は無類の音楽好き
筆者は、とても音楽が好きです。
子どもの頃からピアノを習っていたので、クラシックピアノがすごく好きですし、バイオリンやオーケストラの音楽も聴きます。
はやりの歌なども聴きます。洋楽邦楽問わず聞きますし、時代も、昔のものから現代のものまで幅広いです。映画音楽も好みます。
家にCDもすごくたくさんあり、寝るときにはイヤホンでそのとき聞きたいCDを聞きます。
たとえば、最近では、ショパンのバラードやノクターン、チャイコフスキーのバレエ音楽(くるみ割り人形とか)やラヴェルのピアノ曲、トゥーランドット(フィギュアスケートの宇野昌磨君や荒川静香さんが使った曲ですね)などを聞いています。
アーティストでは、平井堅さん、JUJUさん、アリアナ・グランデさん、クリスティーナ・アギレラさん、aikoさんなど、挙げていけば切りが無いです。
2.音楽を聴いても、何も感じなくなった
そんな私ですが、拒食が酷く、衰弱しきっていたときには、音楽どころではなくなりました。そもそも耳がおかしくなって、すべての音の聞こえ方が変になりましたし、音楽を聴いても全く頭や心に響きません。
常に身体がだるく苦しく、筋力がまったくなくなって、ベッドから起き上がることすらできない状態でした。
「食べないと死ぬ」
と切迫した状況でしたが、わかっていながらも食べられない日々でした。まるで、死に神にとりつかれている気分で、「負けたら死ぬ」と肌で感じていました。枕元に死に神がいるのが見えるようでした。
その頃、筆者は、自分がもともと音楽好きだったことを頭では記憶していましたが、その意味が全くわからない状態になりました。音楽の何が良かったのかがわからないのです。
「一生音楽なんて聴かなくて良いから、楽になりたい、何か食べたい」
「食べなきゃ、でも体重増えたくない、このままじゃ死ぬ」
その繰り返しで、極限状態でした。
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3.「音楽があれば生きていける」は嘘だと思った
そんな中で、ふと、ときどき音楽好きな人やミュージシャンなどの人が
「音楽さえあれば、生きていける」
「No Music、No Life(音楽がなければ人生ではない)」
などと言っているのを思い出しました。
そして、
「なんだそれは」
と思いました。
そんなことを言っている人は、本当の飢えや人間の極限状態を知らないのだと思いました。
人間は、音楽なんてなくても生きていけますが、食べ物がないと生きていけないのだと強く感じ、腹立たしく感じました。
そう、実際に、どんなに音楽好きな人であっても、食べないで飢えきってしまったら、音楽なんてどうでも良くなるんです。
世の中でどんなに「音楽で生きてます」と言う顔をしているミュージシャンであっても、食べ物を与えないで飢えきったら「音楽」なんて言わずに「食べ物」を選ぶでしょう。
これは別に音楽に限らず、どのようなことでも言えることです。
画家、小説家、アニメ好きな人、ゲーム好きな人、仕事に没頭している人、投資が好きな人など、「没頭する対象」というのはいろいろあるものです。
しかし、絶対に、飢えているときの「食」への欲求よりは軽いものだと思っています。
「三度の飯より〇〇が好き」などというのは絶対嘘です。死にかけたら、誰でも、「三度」どころか「一度の飯」でも食べる方を選びます。
そして、拒食症患者は、いつもその人間の根本的な「食」への欲求を極限まで抑えて生きています。
だから、毎日が地獄です。
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4.今は、音楽の素晴らしさを感じ取れるようになった
その後筆者はどうなったのか?
何とか命を長らえています。死にかけの状態を脱し、血液検査の結果は普通に近くなりましたし、髪の毛もすっかり戻り、肌の状態もだいぶマシになりました。
以前より飢えが薄らいだので、音楽の素晴らしさも感じ取れるようになりました。
なお、筆者が死にかけの時にどんなにめちゃくちゃな状態だったかや、少し元気になれたきっかけや経緯については、また別の機会に書こうと思っています。
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